定年退職するまで3本の歯で頑張っていた父もついに観念し、歯医者に行きまし
た。当然のごとく入歯です。でも、これでようやく好きだったせんべいとかたくあんとかも食べられるようになるなあと安心していたのですが…。本入歯が完成するまでにかなり時間がかかるらしく、仮り歯をもらってきたのですが、これがはたから見ているこちらがハラハラするほど大変そうなのです。
慣れていないせいか、力を込めて噛みすぎて歯茎を傷つけてしまったり、ちょっとしたことで外れかけたり。熱さがよくわからないらしく、お茶を一気に飲んでしまって火傷をしたり。祖母からもらった草大福を食べたときなんて、苦悶の表情で外れかける入歯を指で押さえる父の姿に思わず「無理しないで」とか「頑張って」と手に汗を握りながらエールを送ってしまいました。テレビコマーシャルでよく見る入歯定着剤とか使えないの?と聞いたのですが、歯医者には使わないようにと言われたらしいのです。
最近ようやく本入歯が届き、少なくとも食事中に入歯が飛び出してくるようなことはなくなりました。ですが、その分口内が狭くなったそうで、大きく口を開けることができなくなったそうです。がぶっと物にかぶりつくことはできなくなりましたが、念願のたくあんやタケノコやごぼうなど固いものも食べられるようになりました。本人はまだ入歯の違和感になれず、そちらを気にしてばかりいるので「味がよくわからない」とぼやいていますが。
今までほぼ丸のみで食事をしていたのでよく胃痛を訴えていたのですが、咀嚼できるようになってからはあまり薬も飲んでいません。本人は大変そうですが、健康になってもらえて家族は満足しています。あとは食事のたびに入歯の隙間に入ってしまったカスを洗い流す必要があるのですが、その際洗面所をびしょびしょにしたままにするのさえ直してくれたら万々歳なのですが…頑張って最後までは医者に通ってくれただけで良しとしましょう。はやく入歯に慣れておいしいものを食べに行きましょうね。